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越後と親鸞聖人

越後と親鸞聖人

1207(承元元)(じょうげん)年に師の法然上人(ほうねんしょうにん)は土佐の国へ、親鸞聖人はこの越後の国へそれぞれ罪人として遠流(おんる)に処せられました。
 海に遠い京都で過ごされていた聖人にとって、この地で日々接したと思われる日本海を通して味わったものに、『教行信証』(きょうぎょうしんしょう)の「海」の御自釈(ごじしゃく)があります。海は、すべての川の水を受け入れ、そしてすべての水を同じ塩辛(しおから)い一味(いちみ)にするはたらきをもっています。それと同じように如来の本願力(ほんがんりき)は衆生(しゅじょう)の苦しみ、悩みを包み込んで功徳(くどく)の海水とするのでありましょう。その感動を聖人は、『正信偈』(しょうしんげ)の中に、「如衆水入海一味」(にゅしゅうしにゅうかいいちみ)「本願海」(ほんがんかい)「群生海」(ぐんじょうかい)「功徳大宝海」(くどくだいほうかい)「本願大智海」(ほんがんだいちかい)と表現されています。荒波の海辺にじっと立って「海」の無限のはたらきの中に如来(にょらい)の本願力(ほんがんりき)を感得(かんとく)されたのでありましょう。

 聖人は流人(るにん)としての五年間を、この地に暮らす文字をも知らず、苦しみ悩んで生きている多くの人々と生活を共にする中で、「仏道を歩むとは何か」ということを、様々な出合いを通して身に知らされたと想像します。それはまた、法然上人があきらかにされた「念仏(ねんぶつ)の教え」を深く確かめ、愚禿釈親鸞(ぐとくしゃくしんらん)として歩まれる機縁(きえん)となったことでしょう。

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